関節リウマチ医学最新ニュース(51)
異種の自己免疫疾患(膠原病)の場合でも家族の関節リウマチ罹患率高い
親子間、単生児の兄弟姉妹間、双生児間、配偶者間における関節リウマチ(RA)と33種類の自己免疫疾患や関連病態との関係を調べ、異種であっても家族が自己免疫疾患(膠原病)であった場合、親子間、単生児の兄弟姉妹間、双生児間、配偶者間における家族性リスクが高いことが報告されました(Arthritis & Rheumatism(2009; 61: 661-668))。
家族が関節リウマチ(RA)以外の自己免疫疾患(膠原病)であった場合にも関節リウマチ(RA)の家族性リスクが高かったことは、関節リウマチ(RA)と関連疾患との間で広範に遺伝子が共有されていることを論文は示唆しています。
しかし、慢性炎症が起こる部位が違うだけで、慢性炎症を起こす傾向は共有されているということが判明するのみで、それが遺伝子に還元されるとは限りません。家族の中では生活習慣が似ることになりますので、遺伝子以外の要因(エピジェネティックス)も考慮に入れなければなりません。
論文の詳細はコチラ
→スウェーデンの家族に関する信頼性の高い情報源と言われるスウェーデンの多世代登録と退院登録を用 いて,自己免疫疾患で入院した患者44万7,704例を同定した。これら患者のうち関節リウマチ(RA)診断例は4万7,361例(10.6%)であった。
関節リウマチ(RA)同士の関係について,関節リウマチ(RA)に罹患した親の児が関節リウマチ(RA)を発症する標準化罹患率比(SIR)は3.02,兄弟姉妹間でのSIRは4.64,親と兄弟姉妹が重複すると9.31,双生児については6.48,配偶者間については1.17であることが明らかになった。
さらに,児の家族性関節リウマチ(RA)リスクと遺伝的発端者である親の強直性脊椎炎(SIR 2.96),限局性強皮症(同 2.40),シェーグレン症候群(同 2.25),全身性エリテマトーデス(SLE,同 2.13),全身性硬化症(同 1.65),橋本甲状腺炎/甲状腺機能低下症(同 1.54),悪性貧血(同 1.53),サルコイドーシス(同 1.40),乾癬(同 1.36),ウェゲナー肉芽腫症(同 1.34),喘息またはリウマチ性多発筋痛症(同 1.32)の罹患との間に有意の関連が認められた。
SIRは,患者の家族が関節リウマチ(RA)または他の33の自己免疫疾患(膠原病)や関連病態を有する場合に患者が関節リウマチ(RA)に罹患する相対リスク測定値として算出した。家族にこれら疾患の罹患者がいない場合の関節リウマチ(RA)相対リスクを比較対照とした。
関節リウマチ(RA)による入院頻度は,父親に比べて母親で2倍高かったが,それでも家族性SIRは息子-父親間と娘-母親間で等しかった。
男性と女性で大きく異なる家族性SIRは,関節リウマチ(RA)と限局性強皮症,関節リウマチ(RA)とリウマチ性多発性筋痛,関節リウマチ(RA)とシェーグレン症候群,RAとウェゲナー肉芽腫症との関係のみであった。これらのリスクは,すべて女性罹患者が家族の場合に高かった。