関節リウマチ医学最新ニュース（８８）
遅過ぎる関節リウマチ（RA）症状発現後の専門医による評価
欧州の8カ国で実施した試験の結果，関節リウマチ（RA）の疑いがある患者さんが症状発現から関節リウマチ（RA）専門医による評価までの遅延期間の中央値は24週間で，12週間以内に診察を受けた人の割合は施設によって8～42％とばらつきがあることが報告されました（Annals of the Rheumatoid Disease（2011; 70: 1822-1825）。
関節リウマチ（RA）の症状が現れてから最初の3カ月は，治療によって進行を遅らせることができるか否かを左右する重要な時期であると著者が述べています。したがって、すでに進行している症例が結果を悪くしているのではないかという間接的な問いかけをしているようです。
しかし、実際の初期症例では典型的な関節リウマチ（RA）症状を示している例はそれほど多くありません。最初から関節リウマチ（RA）専門医を受診しているならともかく、一般医や患者さんに要求するのは実際的でないでしょう。
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→患者や専門医の行動および医療システムが関節リウマチ（RA）患者の診断遅延に及ぼす影響について，欧州8カ国の関節リウマチ（RA）専門施設10カ所に通院する482例を対象に検討した。試験期間は2009～10年だった。
参加施設の地域は，バーミンガム，チェコ共和国・プラハ，ポーランド・ワルシャワ，ウィーン，ベルリン，ギリシア・ヘラクリオン，スウェーデン・ストックホルム，ルンドおよびウメア，スイス・チューリヒ。
同博士らは，遅延期間（中央値）を（1）患者が医療従事者による診察を希望するまでの期間（2）医療従事者の診察を受けるまでの期間（3）医療従事者の初診から関節リウマチ（RA）専門医へ紹介されるまでの期間（4）関節リウマチ（RA）専門医が患者を診察するまでの期間—の4つのレベルで評価した。 これら4つの要素が全体としての遅延に及ぼす寄与度は施設によって異なるが，英国では患者が一般医（GP）の診察を希望するまでに12週間かかり，ヘラクリオンではさらに長く22週間だった。一方，ベルリンとウィーンでは2週間と短かった。
それ以外のレベルについても，著明なばらつきが見られた。最初の医療従事者が患者を診察するまでの期間は1～12週間，関節リウマチ（RA）専門医への紹介までの期間は2～12週間，関節リウマチ（RA）専門医がその患者を診察するまでの期間は1～11週間だった。