ドクターに聞きたいQ&A(関節リウマチの治療についてQ1〜Q4)
関節リウマチでお悩みの多くの方から当研究所に寄せられたご相談内容の一部を掲載いたします(個人情報は抹消しております)。ご自分の今後の治療にご活用頂けたら幸いです。
Q1.一般に関節リウマチと診断するにはどのような検査がなされるのでしょうか?
A.まず、現在は関節リウマチの診断にはアメリカ関節リウマチ学会(ACR)の診断基準が一般的に使われます。
しかし、この診断基準は関節リウマチの早期診断には不適切なため、日本関節リウマチ学会などが別に早期診断
基準を作っています。さて、具体的に病院でする検査としては、『血液検査』と『レントゲン検査(超音波検査)』に分けられます。
- 1.血液検査について
- 関節リウマチと診断する重要なものだけを挙げます。
- 炎症反応をみるCRP、赤沈検査
- リウマトイド因子、コラーゲン溶解酵素(MMP-3)
- 抗シトルリン抗体(抗CCP抗体)
(このうち抗CCP抗体は保険適応になっていません。)
特に活動性か治癒効果判定のためには、炎症反応を見るCRP、赤沈検査に加えてコラーゲン溶解酵素(MMP-3)が各医療機関でルーチーンで検査されます。
コラーゲン溶解酵素(MMP-3)は、関節の軟骨破壊に関係している重要な酵素で、滑膜炎の程度を反映しています。
- 2.レントゲン検査(超音波検査)について
- 関節のX線写真とMRIが重要です。早期診断には特に関節MRIが必須です。超音波については、早期診断という意味では意味合いが低いでしょう。
Q2.抗リウマチ薬や非ステロイド性抗炎症薬が使えないならばどの薬を内服すればよいのか?
A.妊娠中はステロイド剤が比較的安全と考えられます。ただし、ステロイドも程度問題です。大量のステロイドの内服は胎盤を通過して胎児に移行します。そのときは、胎児の副腎などが萎縮してしまうため危険です。目安としては1日20mg未満と考えてください。
Q3.妊娠中のリウマチ薬の影響について教えてください。
A.非ステロイド性抗炎症薬
- 新生児高血圧、胎児死亡を起こす可能性がある
- アスピリンは新生児の脳内出血の危険性がある。
- 妊娠期間、分娩器官が延長する
A.抗リウマチ薬、生物学的製剤(エンブレル、レミケード)
胎児奇形に対する安全性は証明されていません。したがって、妊娠中は使用は禁止したほうが無難です
Q4.関節リウマチに白血球除去法が有効だと聞いています。どのくらい効果があるのでしょうか?
A.現在、関節リウマチと潰瘍性大腸炎という2つの免疫難病に白血球除去療法に保険適応が認められました。これは白血球の中でも特に炎症に深く関わっている「顆粒球」を除去する方法と、リンパ球なども一緒に除去する方法の二種類があります。これは透析のように血液をいったん体外に取り出し、フイルターで白血球を取り除いた後、体内に戻す治療です。一回の治療で約15万円する高額医療ですので、医療費削減が実行されている中、今後はよほど重症の人しか受けられなくなるでしょう。この治療は、効果の持続がもって3ヶ月ほどしかありません。これは当たり前の話で、私たちの体は正常では日々新陳代謝して造血していますから、いくら除去しても新しい白血球が造られるからです。
このような荒治療でも一時的とはいえ効果があるのは、白血球が細胞内感染などで変性した細胞を異物とみなして攻撃しているからです。
- 高額
- 効果の持続が認められない
- 治療が煩雑
という点からあまり普及しない治療法だと考えられます。薬物治療などが無効で手の施しようのない場合に使用されるくらいになるでしょう。
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