抗リウマチ薬の服用が心配・・(5)
間質性肺炎を併発している関節リウマチ患者さんに与える抗TNF治療の影響
関節リウマチの抗TNF治療(生物学的製剤)は、関節リウマチ関連の間質性肺炎を急激に進行させる副作用が報告されています。一方で、間質性肺炎を併発している関節リウマチ患者さんに抗TNF治療(生物学的製剤)が良い反応を示したという報告もあります。
英国の関節リウマチ患者さんのデータ(British Society for Rheumatology Biologics Register)を解析した結果がこのたび報告されました(Rheumatology (Oxford). 2010 Jul 31)。
間質性肺炎を併発している関節リウマチ患者さん367人が解析されました(そのうち299人の関節リウマチ患者さんは抗TNF治療、68人の関節リウマチ患者さんは通常の抗リウマチ薬を服用しています)
抗TNF薬による関節リウマチ治療をうけた299人の関節リウマチ患者さんのうち70人(23%)は、追跡調査の中央値約3.8年で死亡しています。一方の通常の抗リウマチ薬で関節リウマチ治療を受けた関節リウマチ患者さんのうち14人(21%)が追跡調査の中央値約2.1年で死亡しています。
年齢や性別などの影響を統計学的に調整し、関節リウマチ患者さんで間質性肺炎によって死亡した割合は、抗TNF薬による関節リウマチ治療をうけた関節リウマチ患者さんは21%(15/70)、通常の抗リウマチ薬で関節リウマチ治療を受けた関節リウマチ患者さんは7%(1/14)でした。
今回の解析からは、間質性肺炎をすでに併発していて抗TNF薬による関節リウマチ治療をうけた関節リウマチ患者さんは、通常の抗リウマチ薬で関節リウマチ治療を受けた関節リウマチ患者さんよりも、間質性肺炎が死亡原因となった割合が高いという結果が得られました。
今後、他施設でのデータの報告も必要ですが、今回の解析からは抗TNF薬による関節リウマチ治療はすでに併存している間質性肺炎を悪化させる可能性が高いといえそうです。
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