関節リウマチ医学最新ニュース（３９）
禁煙は膠原病・関節リウマチの症状緩和に有効
禁煙をすれば、関節リウマチ（RA）の症状を緩和できることが、関節リウマチ患者さんのデータベースであるCORRONAを基にした米ニューヨーク大ランゴーニ医療センターの研究で明らかにされました（米国リウマチ学会（ACR2008））。
禁煙患者は、2回連続した診察時に禁煙であると報告した患者と定義し、その上で2008年5月31日時点のCORRONAを調査したところ、登録されている関節リウマチ患者で喫煙状況を報告したのは1万6521人でした。このうち、1万674人(64.6％)は非喫煙者、3519人(21.3％)は元喫煙者、2328人(14.1％)が喫煙者でした。
分析では、主要評価項目は臨床疾患活動性指数(CDAI)の変化とし、副次的評価項目は、圧痛関節数(TJC)、腫張関節数(SJC)および身体機能(mHAQ)などの症状の緩解率に設定した。
調査の結果、登録時に喫煙者であった2328人のうち、少なくとも3回以上の診察を受け、最終診察時に禁煙に成功していたのは328人でした。また、1141人は喫煙を継続していました。
臨床疾患活動性指数(CDAI)では、最終診察時には、禁煙群（11.5）が喫煙群（14.0）より有意に低くなっていました(p〈0.005)。寛解率は、禁煙群（18.6％）が喫煙群（12.3％）より有意に高くなっていました (p〈0.004)（また、回帰モデルで他の可能性のある交絡因子を調整すると、喫煙の継続がCDAIスコアの上昇と関連があることも判明しています）。
喫煙は関節リウマチ・膠原病・自己免疫疾患のベースとなる慢性炎症を加速させることは今までの基礎研究でも明白でした。今回の関節リウマチに絞った研究でも喫煙が関節リウマチ・膠原病・自己免疫疾患の病態を悪化させることが示されました。
詳しい解析結果はこちら →（禁煙群（328人）と喫煙群（1141人）を比較したところ、年齢（56±12.0歳 対 54.5±11.6歳）、罹病期間（9.5±9.2年 対 8.4±8.8年）、追跡期間（3.8±1.5年 対 2.7±1.6年）、生物製剤の使用（33.6％ 対 40.5％）の各項目で有意差があった（それぞれp〈0.05）。一方、女性の割合（71.5％ 対 74.0％）、白人の割合（86.4％ 対 85.3％）、リウマチ因子(RF)の有無（78.1％ 対 79.6％）では、有意差はなかった。）