関節リウマチ医学最新ニュース（４７）
関節リウマチ、緑茶の成分に抗炎症効果
緑茶に含まれる化合物epigallocatechin-3-gallate（EGCG：通称カテキン）に関節リウマチ（RA）に対する治療効果があることがワシントンで開かれた2007年実験生物学会で発表されています。
関節リウマチ（RA）にはさまざまな炎症性物質であるサイトカインが病態の進行に関係しています。たとえばIL-1βと IL-6という炎症性サイトカインは，関節リウマチ（RA）患者さんの関節損傷において重要な役割を果たす免疫系蛋白質で，これら2つの分子は関節リウマチ（RA）患者さんの関節における骨破壊にも強く関与しています。
今回の研究は、関節包を周囲から支持する滑膜線維芽細胞と呼ばれる細胞を関節リウマチ（RA）患者さんの関節から採取し，EGCGを添加して培養しました。次に，この線維芽細胞をイ ンターロイキン（IL）-1βにより刺激し，IL-6とシクロオキシゲナーゼ（COX）-2の活性をEGCGが阻害するかどうかを観察しました。EGCG非添加細胞では，IL-1β刺激により一連の分子イベントが起こり，骨破壊分子が産生されましたが，EGCG前処理細胞ではこれらの分子の産生を抑制できました。また，EGCG処理により，関節炎症に関与するプロスタグランジンE2の産生も抑制されました。
また関節リウマチ（RA）滑膜に発現することが知られている。変形性関節症（OA）患者の滑膜組織と比べて，関節リウマチ（RA）の滑膜組織ではリン酸化脾臓チロシンキナーゼレベルが上昇します。この脾臓チロシンキナーゼをターゲットにした新薬が関節リウマチ（RA）の治療薬として期待されると結んでいます。
IL-1βは関節リウマチ（RA）患者さんの関節に侵入し軟骨劣化の原因となる蛋白質や酵素を産生しますが，EGCG処理滑膜線維芽細胞をIL-1βで刺激したところ，非処理の細胞と比べてIL-1βのこうした能力が著明に阻害された結果も得られました。
すでにコラーゲン溶解ブロック療法でカテキンはリジンなどのアミノ酸と相乗作用して関節リウマチやガンを抑制するというラス研究所の発表・論文があります。カテキンは医薬品でもないため、このような研究に対して医薬品業界からの資金はでませんが、今後は、各医療機関でのカテキンの臨床応用が期待されます。