関節リウマチ医学最新ニュース（６５）
関節リウマチに新基準（ACR/EULAR）
2010年にもお伝えしたしましたが、米国リウマチ学会（ACR）と欧州リウマチ学会議（EULAR）が発表した関節リウマチ（RA）に関する新基準（Annals of Rheumatic Diseases（2010; 69: 1580-1588））について再度お伝えしたいと思います。
新基準は、ACRとEULARが共同で開発し、実際の患者データと関節リウマチ（RA）の専門家らによる合意（Clinical consensus）に基づいている。
1987年に発表された現行のACR基準は、疾患の早期指標ではなく確立された指標に焦点を合わせたものでしたが、今回の基準はこれに代わる新たな2010 年版として策定。過去10年間に有効な薬剤が出現したことで次第に重要になりつつある早期の診断と治療に重点を置いています。
関節リウマチ（RA）は全身性の慢性炎症疾患ですが、主として関節の進行性・炎症性の自己免疫疾患です。英国ではおよそ35万人が罹患し、女性患者が多い（男性のおよそ3倍）。また、後期の関節リウマチ（RA）は重大な心疾患と早期死亡のリスクとなります。
早期に発見すれば、抗リウマチ薬（DMARD）を用いて破壊的な関節損傷を防ぐことができる。
新基準では関節リウマチ（RA）を発症の早期に発見することで、予防的治療をより有望な患者に絞って行い、さらに新しい治療効果が見込めそうな患者を臨床試験に組み入れることを目指しています。
新基準では、（1）少なくとも1つの関節で、関節の内側を覆う滑膜の炎症である滑膜炎が存在（2）感染症により誘発された痛風や関節炎（反応性関節炎） など、滑膜炎を説明する他の診断が除外される—を満たし、かつ、表の合計スコア（0～10点）が6点以上の場合に「関節リウマチ（RA）確定例（definite RA）」と診断されます。