関節リウマチ医学最新ニュース(82)
抗TNFα製剤の使用により関節リウマチ患者の糖尿病リスクが低減
生物学的製剤の抗腫瘍壊死因子α(TNFα)療法を受けている関節リウマチ(RA)患者さんでは、糖尿病の発症リスクが低減するとする研究が論文報告されました(「Arthritis Care & Research」オンライン版2011年10月3日)。
つまり、生物学的製剤の抗腫瘍壊死因子α(TNFα)療法は、関節リウマチ(RA)患者さんにとって糖尿病に罹るリスクを下げるために有効ですよという製薬会社の宣伝論文です(数名の著者は、アムジェンAmgen社、セントコアCentocor社、UCB社をはじめとして、抗TNFα製剤製造会社との資金関係を開示しています)。
本来はTNFα製剤そのものの有効性と副作用のバランスによってその使用を考慮するものですので、この副次的効果はほとんど意味のないものといえるでしょう。
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→今回の研究では、関節リウマチ(RA)発端コホート(inception cohort)を対象に抗TNFα製剤(TNFα阻害薬)の使用と糖尿病発症リスクとの相関を調べました。2001~2009年までに関節リウマチ(RA)と診断された患者さんのうち糖尿病に罹患していない患者さん1,587例が組み入れられ、このうち522例が抗TNFα製剤の投与を受けていました。
電子医療記録(EHR)を使用して、社会人口統計学的状態、病歴、ボディ・マス・インデックス(BMI)、臨床検査値、および薬剤使用歴に関する情報を収集しました。糖尿病の新規発症は、医師による確定診断あるいは米国糖尿病協会(ADA)診断基準(2010年版)を用いて決定しました。追跡期間は、抗TNFα製剤の投与経験患者が中央値で44.9ヵ月、投与未経験患者が中央値で37.1ヵ月でした。
糖尿病を発症した関節リウマチ(RA)患者さん91例のうち16例が抗TNFα製剤の使用経験があり、75例は使用未経験でした。これは、それぞれ8.6/1,000人-年および17.2/1,000人-年の発症率と相関することが判明しました(P=0.048)。調整後の分析では、抗TNF-α製剤の投与歴のある関節リウマチ(RA)患者さんでは、投与歴のない関節リウマチ(RA)患者さんと比較して、糖尿病発症のハザード比は0.49でした(P=0.049)。