関節リウマチ医学最新ニュース（８９）
英国：関節リウマチ（RA）に対する抗リウマチ薬の生物学的製剤トシリズマブの適応拡大を協議
生物学的製剤以外の抗リウマチ薬（DMARD）が無効となった後，早い治療段階からトシリズマブを治療選択肢として暫定的に推奨するもとして、英国立臨床評価研究所（NICE）は，トシリズマブの関節リウマチ（RA）に対する適応ステージを追加することを暫定的に推奨するガイダンスの草稿に関して協議を開始しました。
2010年8月，NICEは英国保健サービス（NHS）に対しガイダンスTA198を提出し，1剤もしくは複数の腫瘍壊死因子（TNF）α阻害薬やリツキシマブで十分な効果が得られないか，これらの薬剤が禁忌，あるいは好ましくない副作用が現れた関節リウマチ（RA）患者さんに対して，トシリズマブを選択肢の1つとして推奨しています。
今回のガイダンス草稿は，特定の臨床状況において，製造元が患者アクセス方式の一部として，割引価格でトシリズマブを提供する場合に限り，関節リウマチ（RA）の早期段階での治療選択肢として同薬を暫定的に推奨するとされています。
抗リウマチ薬（DMARD）に対する反応が不十分な段階で，トシリズマブをNICEガイダンスTA130に記されたTNFα阻害薬と同様に使用してもよいということになります。またガイダンス草稿は，もともとTA198で推奨されていたように，リツキシマブとTNFα阻害薬のいずれでも十分な反応が得られなかった患者や，TNFα阻害薬が奏効しなかった後にリツキシマブを使用できない関節リウマチ（RA）に対しても，トシリズマブを推奨しています。
なお，今回のガイダンスはあくまでも草稿で，英国立臨床評価研究所（NICE）は関節リウマチ（RA）に対するトシリズマブの適応拡大を推奨するガイダンス完成版を英国保健サービス（NHS）にまだ提出していないといいます。
続次ぎと新薬が投入される背景には、関節リウマチ（RA）を現代医療では制御できないという厳しい現実があるのです。