関節リウマチ医学最新ニュース（９０）
米FDAが抗リウマチ薬・JAK阻害薬の承認期限を3カ月延長
米国食品医薬品局（FDA）は，抗リウマチ薬の候補薬である経口Janus Kinase（JAK）阻害薬tofacitinibの承認審査の目標期限を8月21日から3カ月延期することを米ファイザーに通達しました。
米FDAが同社に求めた追加データの審議に時間を要すると判断したためだ。
中等～重症の関節リウマチ（RA）を適応とするtofacitinibの承認審査は，今月N Engl J Medに掲載されたORAL solo試験，ORAL Standard試験を含む5つの第Ⅲ相試験の結果を基にFDAが行っています。
ORAL Start試験は，中等～重度のRA患者のうちメトトレキセート（MTX）未投与の958例を，MTX+tofacitinib（5mg，10mg）群およびMTX+プラセボ群にランダムに割り付け，米国リウマチ学会コアセット改善基準70％以上（ACR70），modified Total Sharp Score（mTSS）を評価したものです。
この結果が公表されたのは投与6カ月後の成績であり，MTX+tofacitinib群はMTX+プラセボ群に比べて，ACR70の有意な改善およびmTSSの有意な低下が認められたといいます。
安全性については，これまでのORAL試験で報告された肺結核や帯状疱疹を含む重篤な感染症および感染症，リンパ腫を含む悪性腫瘍，好中球数の減少，好中球減少症，脂質代謝異常などやはり従来の生物化学的製剤と同等の重篤な副作用があります。
投与6カ月後の成績であるというところが注目です。投与後１年や２年ではどうかなどファイザーにとってはどうでもよいのです。かりに投与後１年では副作用が出て使用できない薬でも、ＦＤＡの審査をパスすれば市場に出ます。これを「チェリーピッキング」といいます。データ操作の一つです。
すでに製薬会社に買収されているＦＤＡでさえもさすがに、副作用が重大なだけに二の足を踏んでいるということが行間で読み取れます